こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
自然栽培米作りにおいて田植え後に最も注力するのは「草対策」です。
自然栽培では除草剤を使用しないために田植え後に放っておくと草が繁茂するということもあります。田植え後の初めの段階で「草対策」をしておくことが重要なのです。
今回は、熊本県南阿蘇で昔の品種のお米「亀の尾」と「旭一号」を育てる赤城さんに田植えと除草方法に関して取材をしました。
赤城さんの除草方法は「チェーン除草」です。あまり聞きなれない除草方法かもしれませんが、動画も含め現場の状況をご覧頂けばと思います。
<目次>
南阿蘇は九州内でも気温が低く特殊な地域であるため、九州の他の地域よりも1ヶ月以上早く田植えに取り掛かかります。よって収穫も、通常より1ヶ月早い9月に行われます。
寒い地域での苗作りはハウスを利用する農家さんが多く南阿蘇でも同様ですが、赤城さんは露地で苗作りをしています。
赤城さんは、5/15頃から「亀の尾」の田植えを開始し、「旭一号」は5/25頃から田植えを開始します。苗は、30日-40日苗を使用。
赤城さんの田んぼでは、株間を30㎝×28㎝と広く空けて苗を植えることを意識しています。(このように株間を空けて植えることを疎植といいます)
赤城さんは、田植え後の2週間に勝負することがあります。
それは「草対策」です。
自然栽培における「草対策」には、ジャンボタニシと共存、機械除草、手除草とさまざまな方法がありますが、赤城さんはチェーン除草を選択しています。
チェーン除草とは、チェーンの付いた角棒やパイプを田んぼの中で引っ張っぱり、チェーンで田んぼ表面の土をかき混ぜ、雑草を除去する方法です。
チェーンを手で引っ張るので大変な作業のように見えますが、赤城さんは、株間・条間の全面にチェーンが当たるので、除草効果が高いと考えています(条間とは作物を植え付けた列の間隔のこと)。
赤城自然栽培米のチェーン除草風景
これ以外にも、赤城さんはチェーン除草の効果について次のように述べています。
・チェーンが通った後は雑草が浮き、表面の種が取れるので発芽を抑えれる。
・水が濁ることで雑草に光が当たらないため、成長を抑えれる。
・土に溜まっているガスを抜くことができる。
田んぼでは、水温が上がることで土中の微生物が活発に動き出します。微生物が分解されていない有機物(稲わらや春草の残渣)を分解する中で、土の中の酸素を使い果たします。
このような嫌気的な状態なると、土中には有毒なガス「硫化水素」が発生します。このガスが田んぼを歩くことで抜けていくと考えられているのです。
チェーン除草には除草自体の効果だけでなく、雑草の成長抑制やガス抜きといった効果も期待できるのですね、
チェーンを引っ張って歩くと聞いた時に多くの人は疑問を抱くかと思います。
「苗は抜けないのか?」
かくいう私も稲の苗も一緒にチェーンに絡めとられるんじゃないか?と懸念しました。。。
しかし赤城さん曰く、田植え後一週間ぐらい経っていると苗の根が活着しているので抜けることがないそうです。
ただしチェーンを引っ張った後は、一時的に苗が横に倒れてしまう(上写真)ので、ジャンボタニシに食べられてしまう可能性があります。そのためジャンボタニシが多くいる田んぼでは、チェーン除草は不向きかもしれません。
翌日には苗が立ち上がり、さらに元気になっているそうです。
赤城さんは、田植え後2週間は草対策のためチェーンを引っ張っています。
自然栽培とは農薬と肥料を使用しない栽培のことを言います。
自然栽培米農家さんは、除草剤を使用せず、自分の田んぼに合う「草対策」を模索し知恵を絞っています。
今回の赤城さんはチェーン除草をしていますが、全面積、チェーンを引っ張って歩くので手間暇がかかる方法ですが、このような地道な活動が無農薬・無肥料栽培を可能なものとしています。
心を込めて栽培している赤城さんの「亀の尾」と「旭一号」の生育を今後も見守っていきたいと思います。
Tags: 自然栽培, 南阿蘇, 亀の尾, 旭一号, チェーン除草
Posted by 自然栽培米ササニシキ-在来種・伝統のお米産地直送専門店 at 11:21 / 伝統の自然栽培米作りの現場コメント&トラックバック(0)