こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
日本を代表する在来種米に「亀の尾」と「亀治」があります。
どちらも明治時代に生まれたお米で「亀の尾」は有名な品種ですが、「亀治」は一般にはあまり知られていません。生産者の名前が似ているため「この2品種は同一の品種なのか?」と疑問に思う方もおられます。
今回は明治時代に誕生した日本の在来種「亀の尾」と「亀治」の違いを、自然栽培米農家の赤城さんの協力を得て、稲の立ち姿や米粒の比較、さらには食味の違いについてもご紹介いたします。
<目次>
山形県にて「阿部亀治」が育成し1896年(明治29年)に生まれたお米。
阿部亀治は、1893年(明治26年)の冷害の年に稲が倒伏している中、「惣兵衛早生(そうべいわせ)」種の一株に倒伏せずに結実している3本の稲穂を発見。阿部亀治がこの3本の稲穂から育成し「亀の尾」が生まれました。
子孫品種を多数持ち、優れた食味はコシヒカリやササニシキなどのお米にも受け継がれています。
島根県にて「広田亀治」が育成し1875年(明治8年)に生まれたお米。
当時、病害虫や干ばつなどの天候による不作があり、安定した米作りが課題となる中、農民達の生活を救うために試作を重ね1875年(明治8年)に生まれたお米です。
当時評判となった「亀治」は関東以南の比較的、暖かい地方で栽培されてきました。
名前が似ている上に、どちらも日本の在来種である「亀の尾」と「亀治」ですが、稲の立ち姿は全く異なります。
「亀の尾」は稲の背丈が110cmほどで、稲が倒れやすい傾向があります。生産者の赤城さんによると、肥料を抜いて4年以上経った自然栽培水田でようやく倒れにくくなるそうです。
稲の立ち姿を見ると、亀の尾は繊細な印象を受けます。
「亀治」は稲の背丈が約120cmと高いのですが、茎が強く、倒れにくい傾向があります
病害虫については自然栽培のためどちらも被害は少ないのですが、亀の尾が繊細なのに対し、亀治には力強さが感じられます。
「亀の尾」は酒造米としても使用される品種で、米の中に「心白」が見えるのが特徴です。
上の写真は特に心白がよく目立つものを選びましたが、心白はお米の内部に隙間が多いと光が乱反射するために白く見えます。隙間があるために麹菌が米の内部まで入り込みやすく、酒米として利用されてきました。
一方、亀治には心白が見られず、見た目は通常のよく見るうるち米です。
上記写真は「亀の尾」と「亀治」の5分搗きを炊いた写真です。
稲の立ち姿や米粒は異なる「亀の尾」と「亀治」ですが、食味は似た傾向があります。
共通点として、甘みと粘りが控えめで、あっさりした味わいが特徴です。
違いとしては、「亀の尾」はその稲の立ち姿のように繊細な味わいが感じられます。一方、「亀治」は粒感があり比較すると力強さがあり、お米の香りが口の中で広がるように感じます。
今回は熊本県南阿蘇で無農薬・無肥料の自然栽培米作りに取り組む赤城誓一さんの協力を得て、「亀の尾」と「亀治」の違いについてお伝えしてきました。
この2品種は育成者の名前が同一の亀治であるため、同じ品種なのかと誤認されることもありますが、まったく異なる品種です。
「亀の尾」は1896年(明治29年)に山形県で阿部亀治が育成した品種
「亀治」は1875年(明治8年)に島根県で広田亀治が育成した品種
どちらも日本の在来種米で、甘みと粘りが控えめな、あっさりとした食味が特徴です。
食味の違いは稲の立ち姿に表れており、亀の尾は繊細な味わい、亀治は少し力強い味わいがあります。どちらも体になじむ優しい味わいを楽しむことができるお米です。
Posted by 自然栽培米ササニシキ-在来種・伝統のお米産地直送専門店 at 09:23 / 食味を知る!伝統のお米コメント&トラックバック(0)