こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
農薬・肥料を一切使用しない自然栽培に取り組む農家さんは、ごくわずかです。自然栽培は、環境保全や健康に良い農産物ができるといわれていますが、手間がかかる上に収量が少なく、自然栽培だけで生計を立てるのは難しいからです。
また、自然栽培は周りの方がほとんど慣行栽培である中で悪目立ちすることがあり、しばしば周りの農家と軋轢が生じることも。
これを承知で自然栽培を志すには、相当な覚悟と努力が必要なのです。
現役の自然栽培農家さんは、どのような「心掛け」で自然栽培に取り組まれているのでしょうか?
今回は、大分県日田市で10年以上自然栽培米を作られている諌山英城さんに伺いました。記事の最後には動画もありますのでぜひご覧ください。
<目次>
皆様は、自然栽培をご存じでしょうか?
自然栽培は、農薬や肥料を使用せずに栽培する方法です。自然栽培に似た栽培方法に、有機栽培や特別栽培などがあります。3つの違いを簡単に述べると以下のとおりです。
・自然栽培…農薬も肥料も一切使わない
・有機栽培…有機肥料や天然由来の農薬は使用可能
・特別栽培…慣行栽培の5割以下の農薬と肥料は使用可能
いずれも農薬や肥料の在り方を問い、環境や身体に配慮した農法である点は共通しています。
一方、農薬や肥料を使用する栽培を慣行栽培といい、農業全体の約99.5% を占めています。つまり、上の3つは合計しても全体の0.5%にも満たないのです。
農薬も肥料もどちらも使用しない自然栽培となると統計データはありませんが、全体の0.1% もないでしょう。
自然栽培は近年、リンゴの自然栽培に成功した木村秋則氏の映画「奇跡のリンゴ」で注目を浴びました。
諌山さんは、その稀な自然栽培に取り組んでいる農家さんの一人です。
自然栽培に取り組んでいる人の割合は、1,000人に1人ぐらいで極少数です。
昔から村社会では「村八分」という言葉があるように、周りの人と違う事をするのはリスクと感じる人が多いでしょう。日本人ならではの「同調圧力」もあります。
皆様も999人が白色の服を着ている中で、自分一人だけ赤色の服を着ていたら、居心地が悪いと思いませんか?
しかし、自分自身が輝き、かつ世の中を良くするために、勇気を出して一人だけ赤色の服を着る人もいるのです。つまり、自然栽培農家は赤色の服を着る人たちなのです。
若い農家さんで「無農薬栽培に挑戦したけれど、周りの農家さんからなかなか理解が得られなくて衝突する」なんて方もおられます。
最終的には、「無農薬の良さを理解できない人たちが悪い」という考えに陥る人もいるでしょう。長年、自然栽培に取り組んでいる農家さんも、若い頃はそんな時期があったかもしれません。
しかし、自然栽培米作りを10年以上続ける諌山さんは、地域の人とのコミュニケーションこそが大事だと仰います。
これは他の自然栽培農家さんも仰っていて、村の区役など積極的に参加し、人間関係を大事にしている方がほとんどです。
諌山さんは、仰っていました。「自分は周りの人とは違った栽培方法ですが、自然栽培と謳ってる以上、人間関係も自然でいたい」と。人とは違う尖った部分をお持ちですが、人との関わりを大事にする柔らかさも重要視しているようです。
自然栽培での大事な心掛け
一部の若い農家さんや消費者さんの中でも、志や使命感が強くなり過ぎると農薬を批判する方がおられます。しかし、農薬を使用することは単なる価値観の違いで、使用するのは自由です。同様に、私たちが無農薬、無肥料で栽培しているのも自由です。
昔は閉ざされた村社会で村八分がございましたが、時代が変わってきました。世の中には多様な生き方が溢れ、個性の時代を経て、次はそれぞれの個性同士が協調する本当の「和の文化」が来ているように思います。
私たちが意識することは、自分の個性を輝かせて、その個性で社会に貢献できたら、それで最高です。
元来、日本には「和の文化」があります。聖徳太子も「和を以て貴しとなす」と説いているように、「和」とは本来、異色に対する寛容さや理解力の深さを表していると思います。
それぞれの人の個性を認め合う、進化した「和の文化」を築いていけたらと思います。
Posted by 自然栽培米ササニシキ-在来種・伝統のお米産地直送専門店 at 10:39 / 自然栽培の世界観コメント&トラックバック(0)