自然栽培米ササニシキ

ササニシキ生産農家が減少した理由|希少な伝統の自然栽培米を日本に残す

2021年6月6日

大森博とササニシキ

こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田です。

自然栽培の世界で注目を浴びている「ササニシキ」。あっさりした食味が特徴のお米です。

一時期は、コシヒカリに次ぐ2位の作付面積となり「東の横綱」とも言われていたほどの人気を博していたササニシキ。

しかし、今ではコシヒカリのような粘りや甘みのあるお米が好まれ、すっかり影が薄くなってしまいました。

あっさりした食感を特徴とするササニシキは、アミロース値が高く、糖尿病などの生活習慣病に効果があると期待され、また化学物質過敏症の方にも体に負担を掛けないと薦めているお医者さんもいると言います。

それでも衰退の一途を辿っているササニシキ。なぜササニシキ生産農家は減ったのでしょうか!?

今回は、南阿蘇で無農薬・無肥料の自然栽培米ササニシキを作る大森さんに、お話を伺いました。

ササニシキの生産者はなぜ減ったのか?

自然栽培米農家大森博

ササニシキは1963年に宮城県の農業試験場において誕生しました。父は「ササシグレ」、母は「ハツニシキ」です。

あっさりした食味が特徴なのでコシヒカリとは無縁であるかのように思われますが、実はササニシキの母のハツニシキとコシヒカリの親は同じです(農林1号×農林22号)。ササニシキとコシヒカリは実は親戚品種です。

興味深いことに、近い親戚どうしであっても、特性と食味は全く異なっているんですね。

ササニシキ系譜図

ササニシキが生まれた背景

大森自然栽培米苗

ササニシキが誕生する前の日本は、食糧増産の時代でした。水田において麦と米の二毛作が行われていたため、麦の収穫後に田植えができる「遅植え」の品種のお米が必要であり、ササシグレとハツニシキを組み合わせて、そのような品種の開発が目指されていました。

しかしその後、二毛作は徐々に減少。麦の栽培がなくなった代わりに田植えを早い時期に行い、多くの収量を確保する方向性を目指しました。

そのような中、選抜を繰り返して1963年に生まれたのが「ササニシキ」です。ササニシキは獲れ高が良く、次第に普及し、誕生から翌年には東北一帯で栽培されました。1985年には栽培面積はコシヒカリに次ぐ第2位まで上りつめました。

一時期は「東の横綱ササニシキ、西の横綱コシヒカリ」とも言われ、日本の米を二分していたほど人気のあったササニシキですが、現在の栽培面積は大幅に減少しています。

ササニシキが減少した理由1. 気候変動で打撃

1960年代後半になると、気候変動が相次ぎました。これによりササニシキは、代表的な稲の病気で、高湿・低温になると発生しやすいと言われている「いもち病」に度々かかり、品質が不安定になってきました。

その後1980年から1983年にかけて起こった冷害で大きな打撃を受け、市場での評価が低下。さらに1993年は冷夏で不作となり、翌1994年は猛暑と多雨で品質が低下したことで市場評価を失い、ササニシキの栽培面積は急速に減少していったのです。

ササニシキが減少した理由2. 現代農業に不適

ササニシキのお米はあっさりした繊細な味を楽しむことができます。
そして、稲自身も他の品種に比べて繊細です。

現代農業では、農薬と肥料を使用して収量を増やす効率的な農業をします。

しかしササニシキは、肥料を使用すると倒れてしまうという特徴があります。稲が倒れると収穫作業に手間がかかり、品質にも影響があるので米農家さんは避けたがります。

ササニシキは、収量を多く獲ろうとする現代農業には適していない品種なのです。

南阿蘇でササニシキの自然栽培米作りに挑戦

熊本県南阿蘇の自然栽培米水田

熊本県南阿蘇の農家、大森博(おおもり・ひろし)さんは、無農薬・無肥料の自然栽培でササニシキを作られています。

九州では、ササニシキの栽培が難しいのですが、熊本県南阿蘇は、独特な環境で山地型気候となり気温が低く、ササニシキの栽培に適しております。

ササニシキは1)気候変動の影響を受けやすい、2)肥料を使用すると倒れることからので栽培が難しく、収量も少ないため、米農家がそれだけで生計を立てるには向いていないと言える品種です。

よって、この南阿蘇でも昔はササニシキ栽培農家がいましたが、今では誰も栽培しなくなりました。

しかし大森さんは、就農に向け師事していた師匠が作るササニシキの味に感動したことから、ササニシキの栽培を決意し、熊本県南阿蘇でササニシキ栽培を復活させました。

ササニシキの栽培に必要なのは“愛”

大森さんのササニシキの話

ササニシキは作りにくい品種であるため、生産者が減っているのが現状です。

大森さんは、「人の欲」が入るとササニシキは作りにくくなると言います。多収量を望む「欲」があると、肥料が必要となるのでササニシキの栽培は難しい。

「自然環境や人の健康を考えた上で本当に良いお米を作りたい」とか「ササニシキを守り、継いでゆきたい」というササニシキへの「愛」がなければ、ササニシキは作れないと言います。

純粋にササニシキを育てたい、食べたいという想いが、ササニシキの栽培には必要であり、それは紛れもなくササニシキへの「愛」なのでしょう。

最後にこちらの動画もぜひご覧ください。

まとめ

自然栽培米ササニシキ農家大森さんと井田

昨今の異常気象は激しさを増しています。日本でも猛暑や暖冬などがここ数年続いており、昨年は記録的な豪雨災害が起こりました。米作においては長雨により、これまでにない不作となりました。

今回は、ササニシキが減少してきた理由をお伝えいたしましたが、この異常気象は、ササニシキ農家にとっても他人事ではありません。

大森さんは無農薬・無肥料に加え自家採種も行っています。大森さんのササニシキは年々自家採種を続けることにより、南阿蘇の地に合った独自のササニシキに変化し、また異常気象にも打ち勝つササニシキへと変化してほしいと願っております。大森さんのササニシキの種籾には、南阿蘇の大地が秘める自然の生命力が脈々と受け継がれているのです。

大森さんのササニシキの種が守られ、次世代に受け継がれてゆくことを願うばかりです。

大森自然栽培米ササニシキはこちら


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Posted by 自然栽培米ササニシキ-日本に残したい伝統のお米専門店-農家直送通販サイト at 09:04 / 井田のササニシキなど伝統米を残す活動コメント&トラックバック(0)