世界農業遺産に登録されている大分県国東(くにさき)半島で
農薬も肥料も使用せずに育てる自然栽培米ササニシキの田植えが4/20頃から始まりました。
九州で最も栽培面積の多い品種は、ヒノヒカリですが
ヒノヒカリの田植え時期は6月中旬頃です。
大分県国東半島で栽培されるササニシキの田植え時期は早いですね。
いわゆる「早期米」の部類に入るかと思います。
もともとササニシキは、東北地域のお米ですので品種特性上早く植え付けられます。
九州でササニシキは珍しいのですが
それを可能にしているのには種に秘密があるのです。
大分県国東半島に村田 光貴さんという米農家さんがいます。
ご自身の体が化学物質過敏症であったために
農薬や肥料を使用しない無農薬にこだわった自然栽培米ササニシキを育てています。
九州でササニシキを育てることができる
村田さんの自然栽培米ササニシキの特徴は
大分県で自家採種を10年以上していることにあります。
ササニシキの種籾自身が、
九州の大分県で育つ遺伝子を引き継いでいるのです。
さらに、
栽培では、農薬も肥料も使用しませんので
無農薬や自然栽培で育ってきた遺伝子情報も引き継いでいます。
3月上旬にササニシキの播種をしました。
播種をする前に通常は、温湯種子消毒をします。
温湯種子消毒とは、播種前の種籾を60度くらいのお湯に10分ほど浸ける作業です。
温湯種子消毒により
種子の周りにいる病気の原因となるカビや細菌を消毒するのですね。
ばか苗病、いもち病、苗立枯細菌病などを防げる効果があると言われています。
村田さんは、この温湯種子消毒を行いません。
消毒という言葉にピンとこなく、そのままで良いという考え方なのです。
4/20頃には15㎝ほどの苗に育ちました。
播種する際に、苗箱に播種する場合とポットに播種する場合があります。
写真のように村田さんは、ササニシキをポット苗で育てています。
ポット苗の方が、田植え時に根を傷つけることがないので
定植後に根の活着(根付き)が良いと言われています。
ポット苗を使用した時と苗箱を使用した時では、
田植え機が異なります。
ポット苗の田植え機は、
ポット苗を前方にセッティングするタイプなのです。
(苗箱タイプの田植え機は、後ろに苗箱セッティング)
村田さんは、この大分県国東半島で10町ほどの大面積でお米栽培をしていますが
田植え時には、村田さんの弟や知人の方々に手伝ってもらっています。
この時期は、朝6時から夜22-24時くらいまで
昼は田植え、夜はライトを付けて代かきをするようです。
また、田植え後、2~3日後にチェーン除草を開始するので
かなり濃い作業を1日で終わらせていきます。
村田さんの奥さんの恵さんも
田植えがスムーズに進むように一緒に作業をしています。
村田 光貴さんに田植えで大事にしていることを伺いました。
その答えは、
「なるべく、うすく」という答えでした。
うすく、つまり疎ということですね。
ササニシキの定植後の写真を見てもらうとお分かりのように
一本植えでかつ、間隔が広いのです。
苗の間隔は、30㎝×30㎝となっており
田植え機で最大限広くできる間隔で植えています。
通常は、なるべく
多くの収量を上げるために一株に3~5本ほど植え
苗の間隔も条間30㎝、株間15~20㎝ほどで自然栽培に比べると密ですね。
密に植えると
稲の高さが50㎝ほどになってくると稲の根元が暗くなってきますが
疎に植えると
稲の根元は明るく、風通しも良いです。
稲にとってどちらの方が気持ちが良いのか?
自然栽培米農家は、稲の気持ちになって環境作りを考えているのだと思います。
田植え後に、自然栽培米農家がする作業は
苗が田んぼで主役になるように除草や水管理をしたり
稲が育ちやすい環境作りをしていくのですね。
田植えは、これまで大切に育てた子供が社会(外の世界)に出るのと同じです。
完全な保護の下ではありませんが
育ちやすい環境作りはしてあげて、
これから育っていく姿を見守っていきたいですね。
Posted by 自然栽培米ササニシキ-在来種・伝統のお米産地直送専門店 at 12:10 / 伝統の自然栽培米作りの現場コメント&トラックバック(0)