こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田です。
桜もすっかり散り、日中は初夏のように暖かくなった4月上旬の阿蘇地方では、全国的にも一足早く、お米の種まきが行われています。
世界農業遺産にも認定されている阿蘇では昔から、寒暖の差が大きい気候に適した稲の栽培が盛んに行われてきました。現在でも農業用地の約半分は米作が占めています。
南阿蘇で無農薬・無肥料の自然栽培米を作る大森博さんも、先日種まき(播種)を行いました。大森さんの令和3年度のお米作りが、いよいよ始まります!
お米作りはまず、種まきから始まります。通常、種まきは5月頃に行われますが、阿蘇では4月上旬からスタート。
一般的にお米の種まきとは、芽出し(催芽)をさせた種籾を土に被せて、育苗箱の中で育てる作業のことをいいます。
通常芽出しは、数日間水に浸けて行います。目的は、その後の成長を均一にすることですが、あえて水の中で芽出しさせず、直接田んぼに種をまく自然栽培農家もいます。
大森さんは毎年、水の中で芽出しを行っていますが、今年は例年よりも早く芽が出てしまったそうです。芽が出るまでにはこれまでだいたい8日間かかっていたそうですが、今年は6日間で出たとのこと。これには気温が高かったことが影響しているようです。
芽出しは、人では感知できない微妙な気温の変化を読み取るメーターのような役割があるようですね。
大森さんは、種まきに関してあるこだわりを持っています。それは、不純物を含まない綺麗な山の土を使用することです。
一般的な栽培では、種まきに使用する土にも肥料を使用することがあります。
通常、発根する前の種には養分が詰まっているので肥料は不要とも言われますが、発根した後の成長を促すために、種まきに使用する土にもあらかじめ肥料を混ぜておく場合があるのです。
しかし大森さんは、無農薬・無肥料の自然栽培でお米を作るからには、種まきの段階でも安全性に配慮する必要があるとして、隣町の高森からわざわざ山土を調達。徹底して無肥料にこだわっています。
現在お米の種まきは、機械を使用して行うことが通例です。大森さんも播種機を使用してきましたが、今年はこれまでにない画期的な機能が搭載された新しい機械を導入しました。種をまく土に、溝ができるのです。
画像を見てお分かりのように、種籾が溝に入っていますね。こうすることで「苗の活着が良くなる」そうです。活着とは、植物が根付いて成長すること。つまりこの溝は、土中への根の張りを良くし、力強い成長をサポートしてくれる役割があるんですね。
ただしここで注意しなければならないのは、出た芽が長すぎると、播種機に詰まってしまうことです。何度か播種機に種籾が詰まって掃除していました。今年は例年よりも早く芽が出たとのことで、あと2日~3日油断していたら芽がさらに成長して、機械が使えなくなっていたかもしれません。種籾も機械も、デリケートなんですね。
溝に入った種籾に土を被せ、苗に成長したら、いよいよ田植えです。
※左側がササニシキを栽培する大森博さん
昨年は、長雨や日照不足など異常なまでの気候変動に米作も打撃を受け、これまでになく収量が減った年となりました。
しかしそのような過酷な環境でも大森さんの自然栽培米は耐え抜き、力強く育ちました。その強さは今年の種籾にも継がれていることでしょう。
今年の大森さんの自然栽培米も、生命力の高いお米に育つに違いありません。これからの成長・収穫が、とっても楽しみですね!
Tags: 自然栽培米, ササニシキ, イセヒカリ, 播種, 南阿蘇
Posted by 自然栽培米ササニシキ-在来種・伝統のお米産地直送専門店 at 16:19 / 井田のササニシキなど伝統米を残す活動コメント&トラックバック(0)